マムFPオフィス -MUM FP Office-

横浜市を中心に活動しているファイナンシャルプランナーです

震度6弱以上の地震発生で保険金が受け取れる地震諸費用保険

FPハム子です。
今回は、東京海上日動から発売予定の『地震に備えるEQuick保険』について説明します。
2020年8月に発売予定でしたがコロナ禍で延期となり、2021年2月の発売予定だったものの先日の地震発生により再度延期となりましたので、現時点での発売時期は未定です。

 

 

EQuick保険とは

商品名を『震度連動型地震諸費用保険』と言います。
保険金の支払いにあたり損害状況の確認や区分を不要とし、被保険者の居住地域で発生し観測された地震の震度に応じて、被害の度合いにかかわらずあらかじめ定めた金額の保険金を支払うという補償内容です。

 

現行の地震保険は、被害発生後に保険会社が損害状況の確認を行ったうえで保険金を支払っていたため、大規模な自然災害が発生した場合は保険金の支払いまでに時間がかかっていました。
EQuick保険は、地震発生後から最短3日で速やかに保険金を支払うことで被災者が当座の生活資金を確保できる、現行の地震保険の機能を補完する位置づけとなっています。

被災直後に必要となる費用として主に下記のものがあり、このような資金ニーズを満たすための保険です。

  • 避難先で暮らすための一時的な備品・日用品・消耗品等の購入費用
  • 自宅が被災して車中泊を余儀なくされた時のための車のガソリン代
  • 子供を遠方の親戚宅に一時避難させるための交通費や生活費
  • 屋根の瓦がずれたためブルーシートで養生などを行う際の応急処置費用

 

EQuick保険は契約の引き受けから保険金支払いまで、人手を介さずスマホで完結するタイプのインターネット完結型商品として、東京海上のホームページ上での販売を予定しています。
保険金の請求方法は、地震発生後に東京海上日動から契約者宛に届くメールにしたがって、契約者自身が保険金請求手続きを行います。
メールが届く契約の洗い出しは、東京海上日動が、気象庁の発表する震度データに基づいて支払い対象の契約を特定します。

f:id:cfp2023:20210218234106p:plain

東京海上日動ニュースリリースより抜粋

 

保険金支払い対象の震度や支払われる保険金額と一年分の保険料は以下の表の通りで、プレミアム・スタンダード・エコノミーの3プランがあります。

f:id:cfp2023:20210218233647p:plain

東京海上日動ニュースリリースより抜粋


加入対象者は20歳以上の個人で、火災保険を契約していなくてもEQuick保険のみ単体で加入可能です。
※法改正で18歳が成人となったら、あわせて変更されるかもしれません。
保険料の支払い方法はクレジットカード一括払いのみです。
保険期間は1年間で、保険の開始日は申込日から7日後以降を選択します。

 

他の地震保険商品との違い

ここからは、地震保険地震特約といった他の商品とEQuick保険の違いを挙げていきます。

 

地震保険とは

  • 火災保険を主契約とし、同じ保険会社でセットで入る必要がある
  • 保険料の算出基準は、地域および建物構造
  • 損害区分は全損・大半損・小半損・一部損の4区分
  • 被害の認定は損害保険登録鑑定人が行う
  • 地震保険料控除の対象になる

 

地震火災費用特約とは

  • 火災保険に付帯する特約(東京海上日動は『地震火災費用保険金』として自動セットされる)
  • 保険料の算出基準は地域および建物構造(主契約の火災保険に準ずる)
  • 損害区分はないが、建物の損害が半焼以上であるなど、被る損害に規定がある
  • 支払われる保険金は、損害額(支払われる火災保険金額)の5%(300万円が限度)または30%・50%(限度額なし)
  • 被害の認定は保険会社が行う

 

ミニ保険(少額短期保険)とは

各会社によりそれぞれ内容が異なります。
ここでは『SBIいきいき少短』を例にします。

www.sbisonpo.co.jp

  • 加入できる物件は、新耐震基準*1を満たす持ち家または分譲マンションであること
  • 保険料の算出基準は、地域および建物構造
  • 損害区分は全壊・大規模半壊・半壊の3区分
  • 保険金額の区分は居住人数により300万円~900万円
  • 被害の認定には市区町村発行の罹災証明書が必要

 

共済の地震特約とは

各共済によりそれぞれ内容が異なります。
ここでは『全国共済』を例にします。

www.zenkokukyosai.or.jp

  • 火災共済に付帯する特約
  • 掛け金の算出基準は、地域および建物構造
  • 地震等による、住宅または家財を収容する住宅が被った半壊・半焼以上の損害に対して、新型火災共済の加入額の15%を支払う。新型火災共済には上記の損害に対する5%地震保障(地震等基本共済金)が自動セットされているので、この特約を組み合わせることで合計20%に支払額を引き上げられる
  • 地震保険料控除の対象

被害の認定方法は不明ですが、保険会社の地震火災費用特約と似た立ち位置ですので、恐らく共済の査定担当者が行うと思われます。

 

まとめ

地震による被害は甚大なので、1つの補償で全てのリスクをカバーすることは難しいです。
持ち家の場合、地震が起きた場合は建物と家財そして日常生活の全てが被害を受けるリスクが高いですから、上記の複数の保険を組み合わせるのが良いでしょう。
賃貸物件に住んでいる場合は、家財のリスクは上記の保険でカバーできますが、借りている家が地震によって住めなくなってしまうリスクは保険ではカバーできません。
ですから、家財のための保険とは別に緊急予備資金を用意しておく必要があります。

また、保険や預貯金のほか、生活復興支援資金などの公的貸付、住宅ローン返済延滞の措置や二重ローンの免除、自宅の耐震補強工事の助成金制度、雑損控除や医療費控除などの税務手続き、被災した家の固定資産税や自動車税の軽減・免除の特別措置、被害者生活再建支援制度による基礎支援金の受給など、公的制度もたくさんあります。

保険料以上に払っている税金を財源にした制度ですから、もし被災した折には必ず申請すべきものです。

 

FPは被災者に代わって申請や手続きをできる訳ではない分、頂く相談料と知識を等価交換して、その人の人生に何が起ころうとも自分自身で切り抜けられる力を身に付けてほしいというのが私の願いです。

私の得意分野は仕事にしている損害保険で、このブログも損保の話題が多めですが、税務や社会保障にも精通しているのでその話題もこれから増やしていきたいなと思います。

*1:建築物の設計に適用される、震度6強~7程度の揺れでも倒壊しない構造の基準。昭和56年6月1日以降に建築確認された建物に適用されている。地震保険の建築年割引の規定もこの新耐震基準に基づいている。